校長室より
人と自然との共存
いよいよ2学期も残り少なくなりました。
先日、今年1年の世相を表す「今年の漢字」が発表され、「熊」という字に決定したというニュースを見ました。全国各地で「熊」の被害が相次ぎ、市街地にまで「熊」が出没するなど、生活や経済活動にも深刻な影響を及ぼしました。
本校では、幸い熊の出没情報はありませんでしたが、イノシシやシカ、アナグマなどの動物の足跡が朝の校庭に残されています。今年はいつにも増してイノシシが校庭を深く掘り起こしミミズを食べに訪れていました。夏休みには、下の写真にもあるように、若いシカが校庭と山里のちょうど境目に慌てる様子もなくしばらくの間のんびりとこちらをながめている様子が見られました。山里の下草の手入れの難しさ、気候を含めた環境の変化など、様々な要因で動物と人間との緩衝地帯が狭まり、明らかに双方の距離が近くなっています。かわいいシカの姿に思わずシャッターをきるのと同時に、人と動物との見えない境界線を目の当たりにしたような気がしました。
本校は豊か自然に囲まれており、そこにいる様々な植物や生き物の存在は、生活科や総合の学習において、子供たちにとってのまたとない生きた教材となっています。本校の大きな強みでもあります。動物たちとの間に、今までは上手に棲み分けができていたはずですが、今、そのバランスが少し崩れ始めているという危機感を感じています。双方に住みやすい自然豊かな地域であるためにできることを、ここを故郷とする子供たちも巻き込んで改めて考えていく必要を感じました。
熊の出没や被害のニュースを受けて、人と自然との共存について考えるきっかけにできればいいと思います。